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Language: English | Japanese Chemical Science誌掲載
2022‒02‒22 原著論文がChemical Science誌に受理されました。 外部サイト(英国王立化学会)
三次元状に連続的に展開したグラフェン骨格を有するナノ多孔性グラフェン (nanoporous graphene, NPG) は、ナノスケールでの機械的柔軟性や電気化学的特性に優れた炭素材料です (Yamamoto et al. ACS Appl. Mater. Interfaces 2021, 13, 38613‒38622)。今回、γ-アルミナナノ粒子表面でのメタン熱分解挙動に関して実験(反応速度論)及び計算化学の両面から包括的にアプローチすることで、NPG合成初期過程の反応機構を分子論的に解明しました。本研究成果は、英国・王立化学会のフラッグシップジャーナルであるChemical Science誌に掲載されました (Chem. Sci. 2022, 13, 3140‒3146)。また、得られた表面構造モデルにおける後続炭素化過程 (CH2* → C) を計算化学的に検討することにより、「CH4*の初期吸着解離過程が速度論的に律速であること」、および「二連続プロトン移動反応により生じる表面活性メチレン種CH2*形成以降の炭素鎖成長過程は速度論的にも熱力学的にもボトルネックになりえない」ことを明らかにしています (Phys. Chem. Chem. Phys. 2022, 24, 23357‒23366)。加えて、得られた多孔性グラフェン材料の構造解析に関する理解も併せて研究が進んでいます (Phys. Chem. Chem. Phys. 2023, 25, 32972‒32978)。一連の研究成果は高く評価されており、関連総説論文もChemical Science誌に掲載されております (Chem. Sci. 2024, 15, 1953‒1965)。詳細は以下の解説記事をご覧ください。本研究により得られた知見は、より優れた多孔性グラフェン材料(NPG類縁体)特に極小曲面多孔性グラフェン材料の実現へ向けた大きな弾みになると期待します。メタン活性化による多孔性グラフェン材料合成の高度制御に向けて、引き続き、研究に邁進してまいります。
追記: "2022 Chemical Science HOT Article Collection" に選ばれました(2022年4月25日)。
東京科学大学 山本雅納
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更新日: 2024年12月05日
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