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Language: English | Japanese
PCCP誌掲載
2022‒09‒09 英国グループとの国際共著論文がPhysical Chemistry Chemical Physics誌に受理されました. 外部サイト(英国王立化学会)
研究背景: 東北大学の山本雅納、山崎馨、ロンドン大学クイーンメアリー校のDr. Devis Di Tommasoらは、「アルミナナノ粒子表面での多孔性ナノグラフェン成長 (Nanoporous Graphenes, NPGs) の律速過程がメタン分子 (CH4) の初期解離吸着であること」を実験および計算化学的に裏付けるとともに、「CH4 が表面酸化物を還元的に除去することで与えられる活性表面が、メチレン種 (CH2*) 生成を速度論的にも熱力学的にも有利にすること」を、実験結果を踏まえて構築した表面モデルを用いた計算化学により明示しました (M. Yamamoto et al. Chem. Sci. 2022, 13, 3140‒3146)。しかしながら、先の研究ではグラフェン生成へと至る後続反応についての知見は明確には得られていませんでした。
本研究のポイント: これに対して本研究では、周期境界条件下での密度汎関数法 (GGA/PBE) による計算化学的手法 (DFT-D3) により、CH4*から表面活性CH2*種を与えた後の後続反応(炭素化へ向けたC-C結合形成)が熱力学的に下り坂&速度論的にデマンディングではないことを明らかにしています。一連の研究より、「よい多孔性グラフェン材料の合成にはメタン分子の初期解離吸着を促進して表面CH2*種を低温で効率よく与える酸化物ナノ構造表面が必要である」というメッセージが演繹されます。
その後の展開: 今回の分子論的理解に基づき、炭素材料合成化学の精密制御が可能になりつつあります。一連の研究成果に関して総説論文 (M. Yamamoto et al. Chem. Sci. 2023, 14, in press) を出しておりますので、こちらもご覧ください。メタン活性化による多孔性グラフェン材料合成の高度制御を目指し、引き続き研究を推進してまいりたく存じます。
東京科学大学 山本雅納
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更新日: 2024年10月01日
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